hju(ヒュウ)の展示です。
hjuとは、色相、色合いという意味である単語hueの発音記号。
ずっとテキスタイルクリエーターをしてきた中村さんが、自分らしさはと考えた時に一番に思い浮かんだのが色だったそうです。布を見た時、例えば模様さえもまず「色」として捉えるのだとか。
こちらはテキスタイルから中村さんが手掛けているバッグです。
なんとこの布、家でインクジェットプリンターで刷ったものなんです!初めのころは詰まるなどのトラブルもありましたが、試行錯誤を重ねることでこの通り。
こちらは日本のヴィンテージの布を使っています。色見本用に作られた為、色が少しずつ違っているそうです。
ところどころに居る、不思議なゆるいキャラクターたち。
hjuのデザインには普遍性を感じるので、ものだけ見ると作っている人の性別や年齢が想像出来ない気がします。老若男女どんな人が出て来ても、「そうか」と思えそう。
彼女がhjuのデザインをしている中村さんです。
四半世紀テキスタイルクリエーターをしてきた方で、今回初の個展だそうです。初めてだというのに本人にも作品にも良い意味で気負ったところがなく、自然体です。これからは毎回テーマを変え、年3回程行っていきたいそうです。
テキスタイル業界は分業による細分化が当たり前の職人の世界だそうですが、中村さんが個人でやりたいのは自分の表現だそうです。「実際に手を動かしている時や完成した時よりも、アイディアを考えたり、意外な組み合わせがハマるのを発見した時の方が楽しい」と言います。
作業の部分は自分以外の人がやることも多いそうで、コラボレーション作品も多いです。彼女自身は職人というよりアーティスト気質に近いのですが、気負わず連携して作品を作っていく姿勢はテキスタイルの世界で身に付いたものなのか、それとも本人が言う通り「年の功」によるものなのか、はたまた性格によるところも大きいのか・・・。
展示会全体に漂う気負わない空気感自体が、hjuという語感に近い気がします。
展示スペースの一部には、ご友人の川村美也子(マダムミコ)さんの作品もありました。アジアやアフリカで服飾の仕事をしてきて、現在は復興支援としてふるさと石釜で工房を開こうとしている方なのだとか。
他の方の作品さえもすっと馴染んでしまうのは、hjuの空気感ならではなのでしょうか。自然体の中村さんに憧憬に近い感情を抱いてしまいました。ほっとしつつもわくわく、くすくすしてしまう、素敵な展示空間です。
DF STAFF KOZUE