「どこかで見たような姿をしているけれどもどこか変な生き物たち。
そんな彼らはもしかしたらあなたの側に紛れて生活しているかもしれません。」
(擬態生物図鑑・目次抜粋)
東京造形大学 絵画専攻四年
小林 広季さんの個展
《擬態生物編》
「擬態」
外的から逃げる為に、
外的を捕食する為に、
生きる為に動物が身につけた術。
食うか食われるかの壮絶な環境下だからこそ、
彼等は身に付けることが出来、
またそうせざるを得なかった。
今展示会では、描きためた擬態生物画を展示。
「 綿草羊 」 Cotton Plant sheep. |
瞼を閉じて佇む羊の首もとに、生い茂る綿草。
心を鎮め、腰を落ち着けている彼が、
この眠りから覚めたとき、
首もとはどう変化するのか、楽しみである。
「 椎茸虫 」 Shiitake mushroom bug. |
タイトルを確認せずに今作品を眺めた。
もしや?と思ったらその通りであった。
「椎茸虫」ちょっと火を通して、その香りと味を堪能したくなる。
石づきの部分が虫本体という構造に気付いて、
にやりとしました。
「 桜ロブスター 」 Cherry blossoms lobster. |
肌寒い今の季節に対応するかのように、
蕾の装い、桜ロブスター。
蕾であれば春の到来と共に開くわけですが、
彼は果たして開くことが出来るのか?
この可能/不可能が、彼の生存確立を大きく左右するはずだが。
もしかしたら、彼にとっての外敵/獲物は冬季に集中するのかもしれない。
...とか、創造された擬態生物達は、
今度は想像を働かせようとしてくれる。
現実に存在するものを複数種配合し、
擬態を会得した彼等は異形のハイブリッドとも呼べる。
今は未だ、想像の中に閉じ込められてはいるが、
どうなるかは誰にもわからない。
いつの日か、彼等が誕生するかもしれないし、
いつの日か、彼等が発見されるかもしれない。
上記を受け手側の意見として捉えるならば、
小林広季さんは送り手である。
彼等を産み出す者として。
※HPでも一部作品をご覧頂けます。
小林広季 『小林広季 個展《擬態生物編》』
会期: 2014.11.22 - 2014.11.24
(ぱんだ)