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あおいうに「帰り道」原画展

「生まれ変わっても言えない。」


あおいうにさん、遠山はるかさん
二人が立ち上げたサークル「コルボノたちの夢」より
発行された絵詩集「帰り道」の原画展

WEST : 1-C にて開催中







展示会場に入室してすぐ、
絵詩集「帰り道」を手に取る事が出来る。

先に一読してから原画を眺めても良いし、
原画を眺めてから手に取っても良い。
だが、私個人としては、後者をおすすめ。
二回とも違った想いで楽しめるから。


「生まれ変わっても言えない。」


冒頭でもご紹介した作品。

目を伏せて、
前傾の姿勢。
支持体の中央にあるのは、
長くうねる長い髪。
重心は後方にある。

その後方にのしかかるモノの存在、
そして何か言いたげな口元が印象的である。



「午前3時」


タイトルを手がかりとするならば、
目映い星が浮かぶ夜の出来事。

とっかかりのない人物の形は幼子のようで、
不安そうに抱き枕や束ねたカーテンを引き寄せ、
抱いているように見えた。

安心して、
おやすみと伝えてあげたい。



「Coffee Beat」


大きな瞳の人物、
立派なギターの輪郭、
しだれ落ちる蔓やグリーン。

木目調のフレームがとても良く似合う作品。
壁掛けではなく、イスに腰掛けている。



「飾り羽と人生」


嫌な結末を迎えるべく、見ている夢の中のよう。

深いグリーンの海と、
気化し立ちのぼるグリーンの空気。
天から差し込む光に貫かれてライトグリーン。
まるで苔のようにネガティブな色彩。

宙に浮いているのは、
人の肢体だろうか。
皮膚はグリーン、爪はイエローのようだけど、
色素の違いなんて、大した問題じゃない。

それは「午前3時」みたいに、
まどろみの中に居て、
暫くは思考を続ける存在に違いない。



「Fade Out」


川縁に佇む人物、
片手を上げているのか、
肩から釣り竿でも下げているのか。

彼を挟んで、手前側に草地、
奥側に川と緑。
この構図、彼はこの後、手前に行くのか、奥に行くのか。

最も濃い色で形作られた彼が、
次第に消えて行く様を最後まで見届けたくなる。
そして、音が聞こえない、静かな作品。



最後、絵詩集「帰り道」の表紙を見返して欲しい。
今展示会ではキャンバス地に描かれた
その「表紙」の原画もご覧頂けます。

見過ごしてしまいそうだけど、
表紙そのものがあることの違和感。

タイトルをパソコンで後載せするんじゃなくて、
もうそこに「タイトル」が筆で描いてあること。

だから、絵詩集という表現方法に行き当たったのではないかと思う。

うまく消化しきれず、喉元で詰まって、
イガイガするこの感じ。

暫く、意識に留まりそうだ。
また、これが絵画の醍醐味だと思う。


あおいうに 
『「帰り道~言葉はいつだって無力だけど、生まれ変わっても言えない~」原画展』
 2015.6.16 - 2015.6.22


(ぱんだ)